生と死について

クリント・イーストウッド主演の映画『グラン・トリノ』を観た。

妻を亡くした頑固な老人が、隣人との交流によって、映画のテーマである生と死について考えを深めていく。

過激な暴力的表現も多いので、通して気持ちよく観られるかと言われればおすすめしないが、本質に迫る、という意味ではいい映画だったと思う。

いろんなことを考えた。

死ぬことと、消えてなくなることは同義ではないこと。

たとえ息絶えたとしても、これまでよりも明確にその存在を示すものもある。

一方で、たとえつつがなく暮らしていたとしても、環境や周囲との関係によっては、世界から消されている可能性もある。

復讐しないでいることと、許すことの違いについて。

波が立っていないから、亀裂が広がっていないから、

動きが見えないからといって、それは力が加わっていないということではなく、単に目に見える世界に限って"つり合っているように見える"というだけのこと。

あらゆるものはきっと、常に動いている、ただしそのほとんどは潜行していて並大抵の想像力では捉えられない。

目に見えているものだけが全てではない、むしろごく一部だという姿勢をもつこと。

そんなことを考えさせられる映画だった。